出会い業者の徹底比較調査

Yは3レースのQ2予想を聞くために、再び電話に走る。
同時に緊張も走る。 4レースに出走する馬をパドックで見て、返しのモニターのある柱に引き上げて来たT。
3人が揃ったところで、こともあろうにYはこんなことを言い出したのである。 「?と先生のどっちが当たるか勝負ですね」もちろん、Tは瞬間湯湧かし器の沸騰直前、コンマ1秒状態となった。
新聞に無言で2―3と書き記す。 馬番連勝230円の1番人気である。

「230円ですか・・・・・・」聞くと「これ一点しかない」と言う。 そして、それ以上の言葉もなく、5レースの馬を見るために、再びパドックへ戻っていったのである。
Tがいなくなった、テレビ・モニターの前で、ぼくとYは悩んだ。 一点とは言え230円である。
これで勝負を賭けるためには、ほぽ全額注ぎ込む必要がある。 「Nさん、買います?」Yが聞いてくる。
ピピルではないか。 買わないとは言えない。
それで、「ケンするわけにはいかないけど、このオッズでプラスにするほどのネタはもうない。 おれはちょっとだけ買うよ」と曖昧な表現をして、窓口に向かった。
レースは見事に、2―3で決まった。 しかし、これは「全財産勝負」ではない。
問題のシーンはこの次だ。 実はぼくは、その瞬間を見ていたわけではない。
後でYに聞いて、改めて身震いしたのだ。 この時点では、Yが2―3を買ったかどうかも知らないし、Tがもの凄い勝負師の姿を、弟子に見せていたとは知らなかった。

ぼくはいつものように、レースをテレビ・モニターで見て、2―3が入ったのを確認してTに報告するために、パドックへ向かったのだ。 ところが、いるはずのTがいない。
4レースが終わった直後だから、まだ5レース出走の新馬たちは悠然と、あるいはイレ込みながらパドックを歩いている。 おかしい。
いつもの定位置に居ないということは、場所を変えたのか?しかし、とにかく自分でもパドックを見たかった。 新馬戦だからか、ほとんどの馬がイレ込んでいる。
それでも何頭かの馬をピックアップし、2人を探したが見つからない。 馬を見て、周囲を見渡しての繰り返しを続けたが、2人の姿はどこにもなかった。
パドックでは、ついに馬が騎手を乗せ、地下馬道へ消え始めている。 仕方なく、テレビ・モニターのある場所へ上がったところに2人は立っていた。
「あれ?どうしたんですか?」Tは「おいおい、探したよ」と言い、ニコニコしている。 勝負が終わってならわかるが、勝負中にこんな笑顔を見せたことはない。
何とも言えない、不思議な予感。 「先生の予想は1―4だそうです」Yが青ざめた顔をして言う。

ぼくは自分の新聞を見たが、1も4もチェックは入れていなかった。 オッズは8倍ちょいを示していた。
「1―4、一点ですか?」Tに聞くと、相変わらずニコニコしている。 そして、「もう帰りだね」と言い、自分の馬券を買いに行ってしまった。
瞬間的に、鳥肌が立った。 青ざめたままのYに聞くと、なんと1番枠の馬・グリーンキングダムが地下馬道から姿を現してからわずか数秒の聞に結論を出してしまったというのだ。
「4番の馬が出てきたところでe見えた!eって言って、引き上げて来たんです」「えっ、その他の、5番から先の馬は見てないの?」「見てないですよ。 少なくともパドックでは見てない。
あ、テレビで見たかもしれない」Yは、馬読み日記を読んでいないから知らないのだ。 ぼくはもう、その状況を聞いてこれは大変なことだと思った。
あとからテレビモニターで確認したかもしれないが、パドックで馬を全部見ないで結論を出すなんて、普通ではない。 Tの書きグセを借りれば、「前代未問の出来事である。
「おいおい、そりゃ1億円レースだ。 全財産勝負だよ、人生賭けてるよ、ハズレたら腹切るつもりだよ」(実際には、そこまで大袈裟な発言はしていないが)と、一気に勝負を賭けた。
この時点では、馬読みにおける「全財産勝負の何たるかを知らないYだが、そこはギャンプラーの天性のカンなのだろう。 Tのただならぬ殺気を感じて、すでに電車賃を残して全部、プチ込んでいた。
ただ、2人ともまったく不安を抱いていないわけではなかった。 Tの馬読みを信じてはいても、やはり2人とも生身の人間、「競馬に絶対はない」という言葉が、脳味噌のどこかにチラついている。

だから、ぼくは財布の中に1万円札を1枚残していた。 Yも、電車賃だけしか残していなかったというのは、あとから教えてくれたのだ。
理由は「万が一、ハズレたとき、かっこ悪いから」だと言った。 同じ不安を抱いても、財布の中に残す金額を比べると、やはりギヤンプラーと凡人は違うのである。
問題の5レース、4番タマニシキが逃げた。 1番グリーンキングダムは、中団からまくり気味に上がってきて、直線では楽に抜け出して勝利は確実な勢い。
問題は4番タマニシキだ。 直後に2頭、ピッタリと食らいついている。
逃げ粘るか、差されてしまうのか。 このときの緊張感は、ぼくの人生の中でも5本の指に入るほどの体験だった。
四番の馬がジリジリと、クピ差まで迫ったところがゴールだった。 思わず、Yと2人で抱き合ってしまった。
今考えるとお恥ずかしい。 と、そばにいたオジサンが「なんだ、1番人気じゃないかよ」と呟いた。
確かに1番人気。 配当は780円。

しかし、これは凄い的中なのだ。 「見たか、Y!」いったいどこにいたのか、Tが横山やすし状態となって肩で楓爽と風を切り、Yを指差しながら登場したーー。
これが本人も認める、馬読み史上最高の的中シーンである。 これは確かに歴史的な、恐るべき1日だった。
ぼくはTを知ってから、まだ1年しか経っていない。 しかし、当たり前だがそのずっと前からeキャンプラーはギャンブルだけで生きてきた。
それでも『馬読み日記』を読めば、おぼろげながらTの過去を知ることは出来る。 ここでは、その多くの勝負録の中から、ひとつだけ紹介してみたい。
馬読みのテクニックには、直接の役には立たないか、ギヤンブラーがどんな過去を経て、現在の馬読みに辿り着いたかを知る上で、これもまた欠かせない学習なのである。 ギャンプルなど、一般の人はやらないほうがいい。
掛け持ちで勝てるほど勝負事は甘くない。 また、私はギャンブル場の帰りには、麻雀はやらなかった。
だいたいギャンブル場の帰りなどは、勝つでも負けても(勝てば雑になる。 負ければ焦るし、気力もわいてこない)もう麻雀を打つエネルギーなど残っていないからだ。

しかし、まだ臨時色ブロになる前は違った。 徹夜麻雀のあと、雀卓の上でチンチロリン。
少ないネタで競輪に行っても負けるだけだ、それなら誰か一人代表して行けばいい(これ、弟の発想)、よし花札で決めようとオイチヨカブ。 競輪場に行くホームでは、切符で丁半バクチ。
後楽園競輪に行つでも、途中で抜け出して場外馬券売り場に行く。 そしてそのために、プロ野球を賭け見ながらポーカー・・。
なんて生活を送っていた。 何でも来いに名人なし。
こんなやり方で勝てるほど、勝負事は甘くない。 麻雀プロになる以前の私は、ギャンブルでは負けの連続だった。
前回のさすらいで知り合った社長も、私の友人(学習塾社員)がギャンブルをやるのを見て「仕事もうまくやり、ギャンブルでも儲けようなんてふざけている。

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